先日、都内のホテルへ向かいますとエントランスに七夕飾りがありました。
その手前には備え台があり、新しい色とりどりの短冊とペンが置かれてあり、”どうぞお願い事をお書きください”と書かれていました。
都内では最近、こういった日本の文化を飾っている風景を見る機会が減ったように思いますが、ホテルという国内外の人々が利用し、目にするエントランスに日本の文化を感じる室礼をするという思いは何とも風情があり、人の温もりを感じるものではないでしょうか。
まさにホテルのホスピタリティにぴったりの室礼と感心いたしました。
『七夕』は日本古来の風習「棚機」に由来しており、中国伝来の乞巧奠(きこうでん)の行事が平安時代に一緒になったのが始りと言われています。
日本の棚機はご先祖様をお迎えする前に穢れなき棚機津女(つめ*布をおる女性)が奥深い水辺の機屋で神様をお迎え祭り、神様を送る日には村人の穢れを神様に持ち去ってもらうという「祓い」の行事を旧暦の7月7日に行っていました。
一方、中国ではひこ星と織姫の物語と乞巧奠の行事(織姫に機織や裁縫、針仕事などの上達を祈願する)の風習があり、日本の棚機と合わさって『七夕』という字が当てられたそうです。天の川でひこ星と織姫が一年に一度会える日としても周知されていますが、ホテルでの七夕の室礼は、人と人とのご縁や繋がりの大切さ、人への愛情など改めて感じ入る機会にもなりました。わたくしも帰り際、短冊に願いを書いて飾らせていただきました。